ままごと『ツアー』旅行記

2018年より、ままごとの新作公演として全国8都市(全39ステージ)を旅してきた『ツアー』。東京凱旋公演に併せて、みなさまに旅《ツアー》の御報告。御観劇のお供にどうぞ。(※下に行くほどに古い記事が掲載されています)


『ツアー』旅行記⑧ 愛知・長久手

2020年1月25日[土]‐26日[日]
長久手市文化の家 森のホール|全2公演

□ 作・演出|柴幸男(ままごと)

□ CAST|大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、小山薫子(ままごと)、秋草瑠衣子

□ STAFF|舞台監督=石橋侑紀(シラカン)、照明=森友樹(急な坂スタジオ)、音響=小早川保隆、衣装=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、宣伝美術=関田浩平、記録写真=石倉来輝(ままごと)、制作=宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)・加藤仲葉(ままごと)

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愛知県名古屋市の隣、長久手市にある「長久手市文化の家」は、柴幸男の演劇活動のルーツと言える場所でもあります。なぜか、ということについては「ままごとの新聞 No.23」に詳しく掲載されているのでぜひご覧ください。

そんな故郷ともいえるような長久手市文化の家の方からお声掛けいただき、公演が実現しました。以前柴が「劇王」で訪れたときからずっと使いたいと思っていたのが、この「森のホール」。ここはクラッシックコンサートが開催できる大きなホールで、25mプールがすぽっと入る程には舞台面を広くとることができます。そんな広い舞台での上演です。

これまでは上演中に物が出てきたり場所が変わったりしてきましたが、ここ長久手の上演ではすべての物も場所も舞台上にある、という演出がほどこされました。大きなホールの中を旅し、時間と共にうつろい、これまでの様々な場所で上演してきたものからさらに広がりを見せた上演になりました。

スタッフは、シリーズ初となる舞台監督をシラカンの石橋侑紀さんがつとめてくださいました。また照明には徳島でご一緒いただいた森さん、音響には新潟でご一緒いただいた小早川さん、衣裳に相変わらずの瀧澤さんと、これまでの旅をぎゅぎゅっとつめたようなスタッフ陣となりました。

長久手では『ツアー』とともに、新作短編『タワー』も上演されました。長久手で創作し、深めたこの2作品を2020年2月・3月にHUNCHで上演します。どうぞ、お楽しみに!

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協力=シラカン、PHABLIC×KAZUI、特別協力=急な坂スタジオ、企画制作=一般社団法人mamagoto、主催=長久手市、助成=文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会


『ツアー』旅行記⑦ 徳島

2019年10月2日[水]-3日[木]
芸術鑑賞会
徳島・徳島市立高等学校 あしかびホール|全3公演

□ 作・演出|柴幸男(ままごと)

□ CAST|大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、小山薫子(ままごと)、秋草瑠衣子

□ STAFF|照明=森友樹(急な坂スタジオ)、衣裳=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、制作=加藤仲葉(ままごと)、宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)

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この公演以降、ままごと端田新菜にかわり新メンバーとして秋草瑠衣子さんが参加!2019年6月のオーディションを経て、『ツアー』メンバーとなった秋草さんは元宝塚俳優。衣裳も新しくなった秋草さん演じるドッグさんとともに、新たな旅が始まりました。

今回の公演は、高校の芸術鑑賞会での上演。徳島市立高等学校の村端先生からのお声掛けにより実現しました。ままごととしても初の徳島、初の学校公演ということで、一同楽しみに伺いました。

鑑賞会は1学年ごとに行われました。300人近くが収容できる大きなホールの客席を使う演出もほどこされ、初めて見るままごとの世界に、みなさんとても新鮮な反応をかえしてくださいました。またこの鑑賞会では、柴幸男 作・演出、村上さくらさん 出演の『津浪と人間と電車の混雑について』も同時上演しました。

照明は、急な坂スタジオの森友樹さん。普段は急な坂食堂でシェフを務めている森さんは、柴幸男の大学時代の同級生で、2019年に上演した toi presents『四色の色鉛筆があれば』の照明担当だったというご縁。久々の照明仕事にもかかわらず、素敵な世界を立ち上げてくださいました。

公演の合間には村端先生が顧問を務める演劇部の生徒のみなさんや、徳島で高校演劇部の顧問をされている先生方との交流もあり、訪れたくなる町がまたひとつ増えた旅になりました。

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『ツアー』旅行記⑥ 東京・蒲田

2019年3月20日[水]
ままごとの『ツアー』報告会(演劇付き)
蒲田・HUNCH|全1公演

□ 出演|柴幸男、宮永琢生、大石将弘、端田新菜、加藤仲葉、石倉来輝、小山薫子

□ 『ツアー』出演|小山薫子(ままごと)、大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、端田新菜(ままごと|青年団)

□ STAFF|作・演出[『ツアー』]:柴幸男、衣裳[『ツアー』]:瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、記録写真[『ツアー』]:石倉来輝(ままごと)、制作:加藤仲葉(ままごと)・宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)

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2018年4月から11月にかけて行った『ツアー』の全国公演。その旅の報告会を行いました。会場となったのは、ままごとが2018年より拠点としている蒲田のアトリエビル「HUNCH」です。

報告会では柴幸男と石倉来輝が司会となり、公演がたちあがっていった様子から、横浜・静岡・新潟・小豆島・沖縄での公演の様子や旅のお土産話を劇団員が入れ代わり立ち代わりトークをしていきました。ワンドリンク付きのイベントということで、ドリンクメニューにも小豆島の「オリーブ茶」、新潟の日本酒「越乃景虎」、沖縄の泡盛「まさひろ」と各地ゆかりのものが並びました。

報告会のあとには、実際に『ツアー』を上演しました。コンクリートに囲まれ、劇場・カフェ・屋外とはまた異なった独特の空間の中で、時折外から聞こえてくる電車の音もBGMにしつつ、シンプルな構成での上演となりました。

当日のイベントの詳細なレポートは、ままごとのInstagramにて読んでいただくことができます。そちらもぜひご覧ください。

 ままごと Instagram

2020年2月に上演する『ツアー』は、このときよりも更にパワーアップした上演となりますので、ぜひおたのしみに!

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協力:HUNCH、醍醐ビル株式会社、ソシオミュゼ・デザイン株式会社、特別協力:急な坂スタジオ、助成[『ツアー』]:芸術文化振興基金、公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、企画・主催:一般社団法人mamagoto


『ツアー』旅行記⑤ 沖縄

2018年11月4日[日]‐6日[火]
アトリエ銘苅ベース|全3公演

□ 作・演出|柴幸男(ままごと)

□ CAST|大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、小山薫子(ままごと)、端田新菜(ままごと|青年団)

□ STAFF|照明=稲嶺隆(沖縄舞台)、衣裳=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、宣伝美術=関田浩平、制作=加藤仲葉(ままごと)・宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)、制作協力=鳥井由美子(ソー//キュー)

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ままごととしては初の公演地、沖縄。2017年にできたばかりの劇場・アトリエ銘苅ベースで上演しました。以前からお世話になっていた制作・鳥井由美子さんが沖縄に移住していたため、現地での制作協力をお願いしました。照明は地元沖縄で活動されている沖縄舞台の稲嶺隆さんにお願いしました。松本大介さんからの照明方針をベースに、現場で、ままごとと共に様々な案を出しつつつくっていただきました。

初めての沖縄公演だったため、関連企画も行いました。那覇市内にあるライブハウスG-shelterさんで『朝がある』『わが星』の上映会を行ったり、沖縄を拠点に活躍する女性ラップ・デュオのMCウクダダとMC i knowのお二人にアフタートークに登壇いただいたりしました。また、通常の2公演とは別に高校生の皆さん向けの特別鑑賞回を行ったり、公演をきっかけに地元で活動されている劇団Theater TEN Company劇団ビーチロックの方々と交流させていただくなど、沖縄で活動されている多くの方々と出会うことができました。

滞在中には、沖縄のフリースクール・珊瑚舎スコーレで小中学生のみなさんと演劇ワークショップを行いました。珊瑚舎スコーレは、ままごと・端田新菜の学生時代の恩師が作られたフリースクールということで、ずっと訪れたいと願っていたことをきっかけに実現した企画でした。

また、空いた時間に各々思い思いの場所を訪れ、思いをはせるような時間を過ごすこともできました。

初めてにも関わらず、いろいろな方が人と人とを繋いでくださり、本当に多くの方々と出会うことができた旅になりました。

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協力=松本大介(株式会社松本デザイン室)・カルテット・オンライン、特別協力=急な坂スタジオ、提携=アトリエ銘苅ベース、助成=芸術文化振興基金・公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、企画・主催=一般社団法人mamagoto


『ツアー』旅行記④ 香川・小豆島

2018年10月20日[土]‐ 21日[日]
ei CAFE|全2公演

□ 作・演出|柴幸男(ままごと)

□ CAST|大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、小山薫子(ままごと)、端田新菜(ままごと|青年団)

□ STAFF|衣裳=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、宣伝美術=関田浩平、制作=加藤仲葉(ままごと)・宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)

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ままごとが2013年から定期的に活動している、馴染み深い小豆島での公演。毎年滞在している坂手という港町にある、カフェを会場にしました。このカフェは瀬戸内国際芸術祭2016期間中、ままごと・宮永琢生がマスターとなり「喫茶ままごと」としてお店をひらいていた場所です。

30人も入ればいっぱいのカフェでは、室内だけでなくバルコニーも活動して上演しました。また、カフェの大きな窓の向こうには発着する船が見えます。船が港に入ってくる時間にあわせて物語が進むように、開演時間を設定して上演しました。また、まちに設置された防災スピーカーから「夕焼け小焼け」が流れる時間にあわせて終演するなど、場所の特性をたくさん盛り込んだ演出となりました。

またカフェでは、上演にあわせて、そうめん料理研究家の日坂春奈さんによる特別メニューも販売されました。

小豆島では様々な作品を発表してきましたが、いわゆる「演劇公演」を行うのは2013年の『日本の大人』、2015年の『わが星』に続いて3度目。5年の間に小豆島で出会ってきた方々がたくさん見に来てくださいました。また、近くの島や、遠方からきてくださる方もいて、これまでの小豆島での活動の集大成のような公演となりました。

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協力=カルテット・オンライン、特別協力=急な坂スタジオ、助成=芸術文化振興基金・公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、企画・主催=一般社団法人mamagoto


『ツアー』旅行記③ 新潟

2018年10月6日[土]-7日[日]
水と土の芸術祭2018 関連公演
万代島多目的広場(屋外広場)[水と土の芸術祭2018メイン会場]|全2公演

□ 作・演出|柴幸男(ままごと)

□ CAST|大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、小山薫子(ままごと)、端田新菜(ままごと|青年団)

□ STAFF|音響=小早川保隆・柴幸男、衣裳=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、宣伝美術=関田浩平、制作=加藤仲葉(ままごと)・宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)

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前回の上演から半年程間が開いて、新潟での上演。2018年5月頃に公演会場を下見した際に、万代島多目的広場の気持ちよさに惚れこみ、屋外での上演を決めました。秋空のもと、今回も車を舞台に据えて上演しましたが、新潟公演で大きく変わったのは後半のテントシーン。広場という特性とピンマイクを活かし、お客さんから離れた遠くの芝生で演じるという演出がほどこされました。

新潟公演では、音響を小早川保隆さんにお願いしました。ままごととは初めてとなる小早川さんでしたが、屋外という条件も、新潟というまちも、ままごとと共に楽しみながら手掛けていただきました。

また、公演自体も「水と土の芸術祭2018」関連公演としてとりあげていただきました。会期最後の連休にメイン会場で上演したこともあり、ちいさなお子さんからご高齢の方までさまざまな方に観劇いただくことができました。静岡の時もそうでしたが、地元で演劇活動をされている方とお話できたことも、嬉しい出会いでした。

新潟は、新米の季節ということもあり、何を口にしてもすべて美味しかったことが忘れられません。

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協力=水と土の芸術祭2018実行委員会[新潟公演]、特別協力=急な坂スタジオ、助成=芸術文化振興基金・公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、企画・主催=一般社団法人mamagoto

『ツアー』旅行記② 静岡

2018年5月4日[金祝]-6日[日]
静岡ストリートシアターフェス ストレンジシード2018 参加作品
静岡・市役所ステージ|全4公演

□ 作・演出|柴幸男(ままごと)

□ CAST|大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、小山薫子、端田新菜(ままごと|青年団)

□ STAFF|衣裳=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、音響=柴幸男、記録写真=山口真由子(静岡ストレンジシード公式)、制作=加藤仲葉(ままごと)、宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)

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GWに静岡のまちなかで行われるストリートシアターフェス、ストレンジシード2018での上演。

横浜での上演から一転して、会場は屋外。試行錯誤の末、実際の車(ままごとの劇団カー)を舞台の真ん中に据え置いて上演することになりました。舞台美術となった車の向こうには実際の道路を走行する車があり、客席から見るとまるで本当に車が動いているようにも。周囲の景色の力も借りた、新たな演出での上演となりました。屋外・ビルの隙間ということもあり、本番中風が強く吹き付ける瞬間もありましたが、45分間、多くのお客さまに見ていただくことができました。

空き時間には他のアーティストの作品を見てまわったり、言葉を交わし合ったりと参加者同士交流がもてたことも有意義な時間でした。この時の再会がきっかけのひとつとなり、翌年のストレンジシードでは康本雅子さんとのコラボ作品を上演することになるのですが、それはまた、別のお話。

静岡で食べた美味しいものたちも、とても心に残っています(劇団員の思い出アルバムには何枚ものさわやかハンバーグの写真が…)。

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静岡ストリートシアターフェス ストレンジシード2018

道具に強力マグネットを仕込み、車につける仕様。


『ツアー』旅行記① 横浜

2018年4月21日[土]-30日[月祝]
横浜・STスポット|全23公演

□ 作・演出|柴幸男(ままごと)

□ CAST|大石将弘(ままごと|ナイロン100℃)、小山薫子、端田新菜(ままごと|青年団)

□ STAFF|照明=松本大介、衣裳=瀧澤日以(PHABLIC×KAZUI)、音響=柴幸男、宣伝美術=関田浩平、記録写真=石倉来輝、記録映像=須藤崇規、制作=加藤仲葉(ままごと)、宮永琢生(ままごと|ZuQnZ)

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定員50名の小さな劇場からスタートした『ツアー』。10日間で23ステージを上演しました。

公演に向けての稽古は2018年4月9日に始まりました。4月16日には劇場に入りして、21日の初日を迎えるまで創作期間は計12日間。限られた時間で稽古して、1時間弱で上演できる作品を創作することを考えて取り組んでいました。また、観劇機会を増やすため、平日19時と21時に公演したり、1日3回公演をしたりも。

STスポットでの照明は、ままごととは初めましての松本大介さん。衣裳はPHABLICxKAZUIの瀧澤日以さん。お二人とも、短い創作期間にも関わらず連日の相談に、様々試しながら共につくりあげてくださいました。音響は柴幸男が兼ね、舞台監督がいない公演だったので、全体の進行は現場の皆で相談しながら進めていました。また、公演写真の撮影は石倉来輝くんです。

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協力=株式会社松本デザイン室、特別協力=急な坂スタジオ、企画制作=一般社団法人mamagoto、STスポット、助成=芸術文化振興基金、公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、主催=一般社団法人mamagoto、共催=STスポット

『ツアー』横浜公演特別企画

2018年4月上旬に、『ツアー』特別企画として、五反田団の前田司郎さんと柴幸男との対談を行いました。作家について、演出家について、団体について、稽古について…などなど、演劇作品をつくることについて、前田さんと柴それぞれの演劇に対する思いを読むことができます。いま読み返してもとても興味深い内容。前編・後編あわせてご一読ください!

前田司郎 × 柴幸男 対談①《前編》
前田司郎 × 柴幸男 対談②《後編》